大韓民国憲法の全文の日本語翻訳版です。
法務省または外務省により公定された翻訳ではありませんが、内容は十分ご理解いただけると思います。
常に最終改正までをフォローしているとは限りません。ご了承ください。
<公布>1987・10・29
<施行>1988・2・25
<目次>
前文
第1章 総綱(1条~9条)
第2章 国民の権利及び義務(10条~39条)
第3章 国会(40条~65条)
第4章 政府
第1節 大統領(66条~85条)
第2節 行政府
第1款 国務総理及び国務委員(86条・87条)
第2款 国務会議(88条~93条)
第3款 行政各部(94条~96条)
第4款 監査院(97条~100条)
第5章 法院(101条~110条)
第6章 憲法裁判所(111条~113条)
第7章 選挙管理(114条~116条)
第8章 地方自治(117条・118条)
第9章 経済(119条~127条)
第10章 憲法改正(128条~130条)
附則(1条~6条)
<改正経緯>
制憲憲法
1948.7.12
第1次改正
1952.7.7
第2次改正
1954.11.29
第3次改正
1960.6.15
第4次改正
1960.11.29
第5次改正
1962.12.26
第6次改正
1969.10.21
第7次改正
1972.12.27
第8次改正
1980.10.27
第9次改正
1987.10.29
前文
悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び、不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、正義、人道及び同胞愛により民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和を基礎として自由民主的基本秩序を一層確固にして、政治、経済、社会及び文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮させ、自由及び権利に伴う責任と義務を完遂させ、内には国民生活の均等なる向上を期し、外には恒久的な世界平和と人類共栄に貢献することにより、我々と我々の子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを誓いつつ、1948年7月12日に制定され、8次にわたって改正された憲法を、ここに国会の議決を経て、国民投票により改正する。
1987年10月29日
第1章 総綱
第1条① 大韓民国は、民主共和国である。
② 大韓民国の主権は、国民に存し、すべての権力は、国民から由来する。
第2条① 大韓民国の国民となる要件は、法律で定める。
② 国は、法律が定めるところにより、在外国民を保護する義務を負う。
第3条 大韓民国の領土は、韓半島及びその附属島嶼とする。
第4条 大韓民国は、統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する。
第5条① 大韓民国は、国際平和の維持に努力し、侵略的戦争を否認する。
② 国軍は、国の安全保障と国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし、その政治的中立性は遵守される。
第6条① この憲法に基づいて締結、公布された条約及び一般的に承認された国際法規は、国内法と同等の効力を有する。
② 外国人は、国際法及び条約が定めるところにより、その地位が保障される。
第7条① 公務員は、国民全体に対する奉仕者であり、国民に対して責任を負う。
② 公務員の身分及び政治的中立性は、法律が定めるところにより保障される。
第8条① 政党の設立は自由であり、複数政党制は保障される。
② 政党は、その目的、組織及び活動が民主的でなければならず、国民の政治的意思形成に参与するのに必要な組織を有しなければならない。
③ 政党は、法律が定めるところにより、国の保護を受け、国は、法律が定めるところにより、政党運営に必要な資金を補助することができる。
④ 政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するときは、政府は、憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は、憲法裁判所の審判により解散される。
第9条 国は、伝統文化の継承、発展及び民族文化の暢達に努力しなければならない。
第2章 国民の権利及び義務
第10条 すべての国民は、人間としての尊厳及び価値を有し、幸福を追求する権利を有する。国は、個人の有する不可侵の基本的人権を確認し、これを保障する義務を負う。
第11条① すべての国民は、法の前に平等である。何人も性別、宗教又は社会的身分により、政治的、経済的、社会的、文化的生活のすべての領域において差別を受けない。
② 社会的特殊階級の制度は認められず、いかなる形態でも、これを創設することはできない。
③ 勲章その他の栄典は、これを受けた者に限りその効力があり、いかなる特権もこれに伴わない。
第12条① すべての国民は、身体の自由を有する。何人も法律によらない逮捕、拘束、押収、捜索又は審問を受けず、法律及び適法な手続きによらない処罰、保安処分又は強制労役を受けない。
② すべての国民は、拷問を受けず、刑事上、自己に不利な陳述を強要されない。
③ 逮捕、拘束、押収又は捜索をするときは、適法な手続きにより、検事の申請に基づいて法官が発付した令状を提示しなければならない。ただし、現行犯人の場合及び長期3年以上の刑に該当する罪を犯し、逃避又は証拠隠滅のおそれがあるときは、事後に令状を請求することができる。
④ 何人も逮捕又は拘束を受けたときは、直ちに弁護人の助力を受ける権利を有する。ただし、刑事被告人が自ら弁護人を求めることができないときは、法律が定めるところにより、国が弁護人を付する。
⑤ 何人も逮捕又は拘束の理由及び弁護人の助力を受ける権利を有することの告知を受けることなくしては、逮捕又は拘束されない。逮捕又は拘束された者の家族等法律が定める者には、その理由並びに日時及び場所が遅滞なく通知されなければならない。
⑥ 何人も逮捕又は拘束されたときは、適否の審査を法院に請求する権利を有する。
⑦ 被告人の自白が、拷問、暴行、脅迫、拘束の不当な長期化、欺罔又はその他の方法により、自由意思で陳述されたものでないと認められるとき、又は正式裁判において被告人の自白が自己に不利な唯一の証拠であるときは、これを有罪の証拠にし、又はこれを理由として処罰することができない。
第13条① すべての国民は、行為時の法律により犯罪を構成しない行為により訴追されず、同一犯罪に対して重ねて処罰されない。
② すての国民は、遡及立法により参政権の制限を受け、又は財産権を剥奪されない。
③ すべての国民は、自己の行為ではない親族の行為により、不利益な処遇を受けない。
第14条 すべての国民は、居住及び移転の自由を有する。
第15条 すべての国民は、職業選択の自由を有する。
第16条 すべての国民は、住居の自由を侵害されない。住居に対する押収又は捜索をするときは、検事の申請により法官が発付した令状を提示しなければならない。
第17条 すべての国民は、私生活の秘密及び自由を侵害されない。
第18条 すべての国民は、通信の秘密を侵害されない。
第19条 すべての国民は、良心の自由を有する。
第20条① すべての国民は、宗教の自由を有する。
②国教は認められず、宗教及び政治は、分離される。
第21条① すべての国民は、言論及び出版の自由並びに集会及び結社の自由を有する。
② 言論及び出版に対する許可又は検閲並びに集会及び結社に対する許可は、認められない。
③ 通信及び放送の施設基準並びに新聞の機能を保障するために必要な事項は、法律で定める。
④ 言論及び出版は、他人の名誉若しくは権利、公衆道徳又は社会倫理を侵害してはならない。言論及び出版が、他人の名誉又は権利を侵害したときは、被害者は、これに対する被害の賠償を請求することができる。
第22条① すべての国民は、学問及び芸術の自由を有する。
② 著作者、発明家、科学技術者及び芸術家の権利は、法律により保護する。
第23条① すべて国民の財産権は、保障される。その内容及び限界は、法律で定める。
② 財産権の行使は、公共福利に適合するようにしなければならない。
③ 公共の必要に基づく財産権の収用、使用又は制限及びこれに対する補償は、法律により行われ、正当な補償を支払わなければならない。
第24条 すべての国民は、法律が定めるところにより、選挙権を有する。
第25条 すべての国民は、法律が定めるところにより、公務担任権を有する。
第26条① すベての国民は、法律が定めるところにより、国家機関に文書で請願する権利を有する。
② 国は、請求に対して、審査する義務を負う。
第27条① すべての国民は、この憲法及び法律が定めた法官により、法律による裁判を受ける権利を有する。
② 軍人又は軍務員でない国民は、大韓民国の領域内では、重大な軍事上の機密、哨兵、哨所、有毒飲食物供給、捕虜及び軍用物に関する罪のうち、法律が定めた場合及び非常戒厳が宣布された場合を除いては、軍事法院の裁判を受けない。
③ すべての国民は、迅速な裁判を受ける権利を有する。刑事被告人は、相当な理由がない限り、遅滞なく公開裁判を受ける権利を有する。
④ 刑事被告人は、有罪の判決が確定されるまでは、無罪と推定される。
⑤ 刑事被害者は、法律が定めるところにより、当該事件の裁判手続きにおいて、陳述することができる。
第28条 刑事被疑者又は刑事被告人として拘禁されていた者が、法律が定めた不起訴処分又は無罪判決を受けたときは、法律が定めるところにより、国に正当な補償を請求することができる。
第29条① 公務員の職務上の不法行為により、損害を受けた国民は、法律が定めるところにより、国又は公共団体に、正当な賠償を請求することができる。この場合、公務員自身の責任は、免除されない。
② 軍人、軍務員、警察公務員その他法律が定める者が、戦闘、訓練等職務執行と関連して受けた損害に対しては、法律が定める報償以外に、国家又は公共団体に対して、公務員の職務上の不法行為による賠償は請求することができない。
第30条 他人の犯罪行為により、生命又は身体に対する被害を受けた国民は、法律が定めるところにより、国から救助を受けることができる。
第31条① すべての国民は、能力に応じて、均等に教育を受ける権利を有する。
② すベての国民は、その保護する子女に、少なくとも初等教育及び法律が定める教育を受けさせる義務を負う。
③ 義務教育は、無償とする。
④ 教育の自主性、専門性、政治的中立性及び大学の自律性は、法律が定めるところにより、これを保障する。
⑤ 国は、平生教育を振興しなければならない。
⑥ 学校教育及び平生教育を含めた教育制度並びにその運営、教育財政及び教員の地位に関する基本的事項は、法律で定める。
第32条① すべての国民は、勤労の権利を有する。国は、社会的及び経済的方法により、勤労者の雇用の増進及び適正賃金の保障に努力しなければならず、法律が定めるところにより、最低賃金制を施行しなければならない。
② すベての国民は、勤労の義務を負う。国は、勤労の義務の内容及び条件を、民主主義原則に従い、法律で定める。
③ 勤労条件の基準は、人間の尊厳性を保障するよう、法律で定める。
④ 女子の勤労は、特別の保護を受け、雇用、賃金及び勤労条件において、不当な差別を受けない。
⑤ 年少者の勤労は、特別な保護を受ける。
⑥ 国家有功者、傷痍軍警及び戦没軍警の遺家族は、法律が定めるところにより、優先的に勤労の機会を与えられる。
第33条① 勤労者は、勤労条件の向上のために、自主的な団結権、団体交渉権及び団体行動権を有する。
② 公務員たる勤労者は、法律が定める者に限り、団結権、団体交渉権及び団体行動権を有する。
③ 法律が定める主要防衛産業体に従事する勤労者の団体行動権は、法律が定めるところにより、これを制限し、又は認めないことができる。
第34条① すべての国民は、人間らしい生活を営む権利を有する。
② 国は、社会保障及び社会福祉の増進に努力する義務を負う。
③ 国は、子女の福祉及び権益の向上のために努力しなければならない。
④ 国は、老人及び青少年の福祉向上のための政策を実施する義務を負う。
⑤ 身体障害者及び疾病又は老齢その他の事由により、生活能力がない国民は、法律が定めるところにより、国の保護を受ける。
⑥ 国は、災害を予防し、その危険から国民を保護するために努力をしなければならない。
第35条① すべての国民は、健康で快適な環境において生活する権利を有し、国及び国民は、環境保全のために努力しなければならない。
② 環境権の内容及び行使に関しては、法律で定める。
③ 国は、住宅開発政策等を通じて、すべての国民が、快適な住居生活をすることができるように努力しなければならない。
第36条① 婚姻及び家族生活は、個人の尊厳及び両性の平等を基礎として成立し、維持されなければならず、国は、これを保障する。
② 国は、母性の保護のために努力をしなければならない。
③ すべての国民は、保健に関して国の保護を受ける。
第37条① 国民の自由及び権利は、憲法に列挙されていないという理由で軽視されない。
② 国民のすべての自由及び権利は、国の安全保障、秩序維持又は公共福利のために必要な場合に限り、法律により制限することができ、制限する場合においても、自由及び権利の本質的内容を侵害することはできない。
第38条 すべての国民は、法律が定めるところにより、納税の義務を負う。
第39条① すベて国民は、法律が定めるところにより、国防の義務を負う。
② 何人も、兵役義務の履行により、不利益な処遇を受けない。
第3章 国会
第40条 立法権は、国会に属する。
第41条① 国会は、国民の普通、平等、直接及び秘密選挙により選出された国会議員で構成する。
② 国会議員の数は法律で定め、これを200人以上とする。
③ 国会議員の選挙区及び比例代表制その他の選挙に関する事項は、法律で定める。
第42条 国会議員の任期は、4年とする。
第43条 国会議員は、法律が定める職を兼ねることができない。
第44条① 国会議員は、現行犯人である場合を除いては、会期中国会の同意なしに逮捕又は拘禁されない。
② 国会議員が、会期前に逮捕又は拘禁されたときは、現行犯人でない限り、国会の要求があれば、会期中釈放される。
第45条 国会議員は、国会で職務上行った発言及び表決に関して、国会外で責任を負わない。
第46条① 国会議員は、清廉の義務がある。
② 国会議員は、国家利益を優先し、良心に従い、その職務を行う。
③ 国会議員は、その地位を乱用して、国、公共団体又は企業体との契約、又はその処分により、財産上の権利、利益又は職位を取得し、若しくは他人のためにその取得をあっせんすることはできない。
第47条① 国会の定期会は、法律が定めるところにより、毎年1回集会され、国会の臨時会は、大統領又は国会在籍議員の4分の1以上の要求に基づいて集会される。
② 定期会の会期は100日を、臨時会の会期は、30日を超えることはできない。
③ 大統領が臨時会の集会を要求するときは、期間及び集会要求の理由を明示しなければならない。
第48条 国会は、議長1及び副議長2人を選出する。
第49条 国会は、憲法又は法律に特別な規定がない限り、在籍議員の過半数の出席及び出席議員の過半数の賛成で議決する。可否同数のときは、否決されたものとみなす。
第50条① 国会の会議は、これを公開する。ただし、出席議員の過半数の賛成があり、又は議長が国の安全保障のために必要であると認めるときは、公開しないことができる。
② 公開しなかった会議内容の公表に関しては、法律が定めるところによる。
第51条 国会に提出された決律案その他の議案は、会期中に議決されなかったという理由で廃棄されない。ただし、国会議員の任期が満了したときは、この限りでない。
第52条 国会議員及び政府は、法律案を提出することができる。
第53条① 国会で議決された法律案は、政府に移送され、15日以内に大統領が公布する。
② 法律案に異議があるときは、大統領は、前項の期間内に異議書を添えて国会に還付し、その再議を要求することができる。国会の閉会中においても、また同様である。
③ 大統領は、法律案の一部に対して、又は法律案を修正して、再議を要求することはできない。
④ 再議の要求があるときは、国会は再議に付し、在籍議員の過半数の出席及び出席議員3分の2以上の賛成により、前回と同様の議決をすれば、その法律案は、法律として確定される。
⑤ 大統領が、第1項の期間内に公布又は再議の要求をしなかったときにも、その法律案は、法律として確定される。
⑥ 大統領は、前2項の規定により確定された法律を、遅滞なく公布しなければならない。前項の規定により法律が確定された後、又は第4項の規定による確定法律が政府に移送された後、5日以内に大統領が公布しないときは、国会議長がこれを公布する。
⑦ 法律は、特別な規定がない限り、公布した日から20日を経過することによって、効力を発生する。
第54条① 国会は、国の予算案を審議、確定する。
② 政府は、会計年度ごとに予算案を編成して、会計年度開始90日前までに国会に提出し、国会は、会計年度開始30日前までに、これを議決しなければならない。
③ 新しい会計年度が開始するまでに予算案が議決されなかったときは、政府は、国会で予算案が議決されるときまで、次の目的のための経費は、前年度予算に準じて執行することができる。
1 憲法又は法律により設置された機関又は施設の維持・運営
2 法律上の支出義務の履行
3 既に予算として承認された事業の継続
第55条① 1会計年度を超えて引き続き支出する必要があるときは、政府は、年限を定めて、継続費として国会の議決を得なければならない。
② 予備費は、総額で国会の議決を得なければならない。予備費の支出は、次期国会の承認を得なければならない。
第56条 政府は、予算に変更を加える必要があるときは、追加更正予算案を編成して、国会に提出することができる。
第57条 国会は、政府の同意なしに、政府が提出した支出予算各項の金額を増額し、又は新しい費目を設けることばできない。
第58条 国債を募集し、又は予算外に国の負担になる契約を締結しようとするときは、政府はあらかじめ国会の議決を得なければならない。
第59条 租税の種目及び税率は、法律で定める。
第60条① 国会は、相互援助若しくは安全保障に関する条約、重要な国際組織に関する条約、友好通商航海条約、主権の制約に関する条約、講和条約、国家若しくは国民に重大な財政的負担を負わせる条約又は立法事項に関する条約の締結及び批准に対する同意権を有する。
② 国会は、宣戦布告、国軍の外国への派遣、又は外国軍隊の大韓民国領域内における駐留に対する同意権を有する。
第61条① 国会は、国政を監査し、又は特定の国政事案に対して調査することができ、これに必要な書類の提出又は証人の出席及び証言若しくは意見の陳述を要求することができる。
② 国政監査及び調査に関する手続きその他の必要な事項は、法律で定める。
第62条① 国務総理、国務委員又は政府委員は、国会又はその委員会に出席して、国政処理状況を報告し、意見を陳述し、又は質問に応答することができる。
② 国会又はその委員会の要求があるときは、国務総理、国務委員又は政府委員は、出席し、答弁しなければならず、国務総理又は国務委員が出席要求を受けたときは、国務委員又は政府委員を出席させ、答弁させることができる。
第63条① 国会は、国務総理又は国務委員の解任を大統領に建議することができる。
② 前項の解任の建議は、国会在籍議員の3分の1以上の発議により、国会在籍議員の過半数の賛成がなければならない。
第64条① 国会は、法律に抵触しない範囲内で、議事及び内部規律に関する規則を制定することができる。
② 国会は、議員の資格を審査し、議員を懲戒することができる。
③ 議員を除名するには、国会在籍議員の3分の2以上の賛成がなければならない。
④ 前2項の規定による処分に対しては、法院に提訴することができない。
第65条① 大統領、国務総理、国務委員、行政各部の長、憲法裁判所裁判官、法官、中央選挙管理委員会委員、監査院長、監査委員その他法律が定めた公務員が、その職務執行に際して、憲法又は法律に違背したときは、国会は弾劾の訴追を議決することができる。
② 前項の弾劾訴追は、国会在籍議員の3分の1以上の発議がなければならず、その議決は、国会在籍議員の過半数の賛成がなければならない。ただし、大統領に対する弾劾訴追は、国会在籍議員の過半数の発議及び国会在籍議員の3分の2以上の賛成がなければならない。
③ 弾劾訴追の議決を受けたきは、弾劾審判があるときまで、その権限行使が停止される。
④ 弾劾決定は、公職から罷免するにとどまる。ただし、これにより民事上又は刑事上の責任が免除されない。
第4章 政府
第1節 大統領
第66条① 大統領は、国の元首であり、外国に対して国家を代表する。
② 大統領は、国の独立、領土の保全、国の継続性及び憲法を守護する責務を担う。
③ 大統領は、祖国の平和的統一のために誠実な義務を負う。
④ 行政権は、大統領を首班とする政府に属する。
第67条① 大統領は、国民の普通、平等、直接及び秘密の選挙により選出する。
② 前項の選挙において、最高得票者が2人以上のときは、国会の在籍議員の過半数が出席した公開の会議において多数票を得た者を当選者とする。
③ 大統領候補者が1人のときは、その得票数が選挙権者総数の3分の1以上でなければ、大統領として当選とされることはできない。
④ 大統領として選挙されることができる者は、国会議員の被選挙権があり、選挙日現在40歳に達していなければならない。
⑤ 大統領の選挙に関する事項は、法律で定める。
第68条① 大統領の任期が満了するときは、任期満了70日前から40日前までに、後任者を選挙する。
② 大統領が欠位となったとき又は大統領当選者が死亡し、若しくは判決その他の事由により、その資格を喪失したときは、60日以内に後任者を選挙する。
第69条 大統領は、就任に際して次の宣誓をする。
「私は、憲法を遵守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一並びに国民の自由及び福利の増進並びに民族文化の暢達に努力し、大統領としての職責を誠実に遂行することを国民の前に厳粛に宣誓します。」
第70条 大統領の任期は、5年とし、重任することはできない。
第71条 大統領が欠位になり、又は事故により職務を遂行することができないときは、国務総理、法律で定められた国務委員の順序で、その権限を代行する。
第72条 大統領は、必要であると認めるときは、外交、国防、統一その他国家安危に関係する重要政策を国民投票に付することができる。
第73条 大統領は、条約を締結し、批准し、外交使節を信任し、接受し、又は派遣し、宣戦布告及び講和を行う。
第74条① 大統領は、憲法及び法律が定めるところにより、国軍を統帥する。
② 国軍の組織及び編成は、法律で定める。
第75条 大統領は、法律で具体的に範囲を定めて委任された事項及び法律を執行するために必要な事項に関して、大統領令を発することができる。
第76条① 大統領は、内憂、外患、天災、地変又は重大な財政上、経済上の危機において、国の安全保障又は公共の安寧秩序を維持するために緊急の措置が必要であり、国会の集会を待つ余裕がないときに限り、最小限に必要な財政、経済上の処分を行い、又はこれに関して法律の効力を有する命令を発することができる。
② 大統領は、国の安危に関係する重大な交戦状態において、国家を保衛するために緊急の措置が必要であり、国会の集会が不可能なときに限り、法律の効力を有する命令を発することができる。
③ 大統領は、前2項の規定による処分又は命令をしたときは、遅滞なくこれを国会に報告し、その承認を得なければならない。
④ 前項の承認を得られなかったときは、その処分又は命令は、そのときから効力を喪失する。この場合、その命令によって改正又は廃止された法律は、その命令が承認を得られなかったときから当然に、その効力を回復する。
⑤ 大統領は、前2項の事由を遅滞なく公布しなければならない。
第77条① 大統領は、戦時、事変又はこれに準ずる国家非常事態において、兵力をもって軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持する必要があるときは、法律が定めるところにより、戒厳を宣布することができる。
② 戒厳は、非常戒厳及び警備戒厳とする。
③ 非常戒厳が宣布されたときは、法律が定めるところにより、令状制度並びに言論、出版、集会、結社の自由及び政府又は法院の権限に関して、特別の措置を講ずることができる。
④ 戒厳を宜布したときは、大統領は、遅滞なく国会に通告しなければならない。
⑤ 国会が、在籍議員の過半数の賛成により、戒厳の解除を要求したときは、大統領は、これを解除しなければならない。
第78条 大統領は、この憲法及び法律が定めるところにより、公務員を任免する。
第79条① 大統領は、法律が定めるところにより、赦免、減刑又は復権を命ずることができる。
② 一般赦免を命ずるときは、国会の同意を得なければならない。
③ 赦免、減刑及び復権に関する事項は、法律で定める。
第80条 大統領は、法律が定めるところにより、勲章その他の栄典を授与する。
第81条 大統領は、国会に出席して発言し、又は書簡により意見を表示することができる。
第82条 大統領の国法上の行為は、文書により行い、この文書には、国務総理及び関係国務委員が副署する。軍事に関する行為もまた同様である。
第83条 大統領は、国務総理、国務委員、行政各部の長及びその他法律が定める公私の職を兼ねることはできない。
第84条 大統領は、内乱又は外患の罪を犯した場合を除いては、在職中刑事上の訴追を受けない。
第85条 前職の大統領の身分及び礼遇に関しては、法律で定める。
第2節 行政府
第1款 国務総理及び国務委員
第86条① 国務総理は、国会の同意を待て、大統領が任命する。
② 国務総理は、大統領を補佐し、行政に関して大統領の命を受けて行政各部を統轄する。
③ 軍人は、現役を退いた後でなければ、国務総理に任命されることができない。
第87条① 国務委員は、国務総理の提請により、大統領が任命する。
② 国務委員は、国政に関して大統領を補佐し、国務会議の構成員として国政を審議する。
③ 国務総理は、国務委員の解任を大統領に建議することができる。
④ 軍人は、現役を退いた後でなければ、国務委員に任命されることができない。
第2款 国務会識
第88条① 国務会議は、政府の権限に属する重要な政策を審議する。
② 国務会議は、大統領、国務総理及び15人以上30人以下の国務委員で構成する。
③ 大統領は、国務会議の議長となり、国務総理は、副議長となる。
第89条 次の事項は、国務会議の審議を経なければならない。
1 国政の基本計画及び政府の一般政策
2 宣戦、講和その他重要な対外政策
3 憲法改正案、国民投票案、条約案、法律案及び大統領令案
4 予算案、決算、国有財産処分の基本計画、国の負担となる契約その他財政に関する重要事項
5 大統領の緊急命令、緊急財政経済処分及び命令又は戒厳及びその解除
6 軍事に関する重要事項
7 国会の臨時会集会の要求
8 栄典授与
9 赦免、減刑及び復権
10 行政各部間の権限の画定
11 政府内の権限の委任又は配定に関する基本計画
12 国政処理状況の評価・分析
13 行政各部の重要な政策樹立及び調整
14 政党解散の提訴
15 政府に提出又は回付された政府の政策に関係する請願の審査
16 検察総長、合同参謀議長、各軍参謀総長、国立大学校総長、大使、その他法律が定めた公務員及び国営企業体管理者の任命
17 前各号のほか、大統領、国務総理、又は国務委員が提出した事項
第90条① 国政の重要事項に関する大統領の諮問に応ずるため、国家元老で構成される国家元老諮問会議を置くことができる。
② 国家元老諮問会議の議長は、直前の大統領がなる。ただし、直前の大統領がいないときは、大統領が指名する。
③ 国家元老諮問会議の組織、職務範囲その他の必要な事項は、法律で定める。
第91条① 国家安全保障に関係する対外政策、軍事政策及び国内政策の樹立に関して、国務会議の審議に先立って大統領の諮問に応ずるため、国家安全保障会議を置く。
② 国家安全保障会議は、大統領が主宰する。
③ 国家安全保障会議の組織、職務範囲その他の必要な事項は、法律で定める。
第92条① 平和統一政策の樹立に関する大統領の諮問に応ずるため、民主平和統一諮問会議を置くことができる。
② 民主平和統一諮問会議の組織、職務範囲その他の必要な事項は、法律で定める。
第93条① 国民経済の発展を図るための重要政策の樹立に関して大統領の諮問に応ずるため、国民経済諮問会議を置くことができる。
② 国民経済諮問会議の組織、職務範囲その他の必要な事項は、法律で定める。
第3款 行政各部
第94条 行政各部の長は、国務委員の中から国務総理の提請により、大統領が任命する。
第95条 国務総理又は行政各部の長は、所管事務に関して、法律若しくは大統領令の委任又は職権により、総理令又は部令を発することができる。
第96条 行政各部の設置並びに組織及び職務範囲は、法律で定める。
第4款 監査院
第97条 国の歳入・歳出の決算、国家及び法律が定めた団体の会計検査並びに行政機関及び公務員の職務に関する監察を行うため、大統領所属の下に監査院を置く。
第98条① 監査院は、院長を含めた5人以上11人以下の監査委員で構成する。
② 院長は、国会の同意を待て大統領が任命し、その任期は4年とし、1次に限り重任することができる。
③ 監査委員は、院長の提請により大統領が任命し、その任期は4年とし、1次に限り重任することができる。
第99条 監査院は、歳入・歳出の決算を毎年検査して、大統領及び次年度国会に、その結果を報告しなければならない。
第100条 監査院の組織及び職務範囲、監査委員の資格、監査対象公務員の範囲その他必要な事項は、法律で定める。
第5章 法院
第101条① 司法権は、法官で構成された法院に属する。
② 法院は、最高法院である大法院及び各級法院で組織される。
③ 法官の資格は、法律で定める。
第102条① 大法院に、部を置くことができる。
② 大法院に、大法官を置く。ただし、法律が定めるところにより、大法官でない法官を置くことができる。
③ 大法院及び各級法院の組織は、法律で定める。
第103条 法官は、憲法及び法律により、その良心に従い、独立して審判する。
第104条① 大法院長は、国会の同意を待て、大統領が任命する。
② 大法官は、大法院長の提請により、国会の同意を待て、大統領が任命する。
③ 大法院長及び大法官でない法官は、大法官会議の同意を得て、大法院長が任命する。
第105条① 大法院長の任期は、6年とし、重任することができない。
② 大法官の任期は、6年とし、法律が定めるところにより、適任することができる。
③ 大法院長及び大法官でない法官の任期は、10年とし、法律が定めるところにより、連任することができる。
④ 法官の定年は、法律で定める。
第106条① 法官は、弾劾又は禁錮以上の刑の宣告によることなくしては、罷免されず、懲戒処分によることなくしては、停職、減俸又は不利な処分を受けない。
② 法官が、重大な心身上の障害により、職務を遂行することができないときは、法律が定めるところにより、退職させることができる。
第107条① 法律が憲法に違反するか否かが裁判の前提になった場合には、法院は、憲法裁判所に提請して、その審判により裁判する。
② 命令、規則又は処分が、憲法又は法律に違反するか否かが裁判の前提になった場合には、大法院は、これを最終的に審査する権限を有する。
③ 裁判の前審手続きとして、行政審判を行うことができる。行政審判の手続きは、法律で定め、司法手続きが準用されなければならない。
第108条 大法院は、法律に抵触しない範囲内で、訴訟に関する手続き、法院の内部規律及び事務処理に関する規則を制定することができる。
第109条 裁判の審理及び判決は、公開する。ただし、審理が、国の安全保障若しくは安寧秩序を妨害し、又は善良な風俗を害するおそれがあるときは、法院の決定により公開しないことができる。
第110条① 軍事裁判を管轄するため、特別法院として軍事法院を置くことができる。
② 軍事法院の上告審は、大法院において管轄する。
③ 軍事法院の組織、権限及び裁判官の資格は、法律で定める。
④ 非常戒厳下の軍事裁判は、軍人及び軍務員の犯罪、軍事に関する間諜罪並びに哨兵、哨所、有毒飲食物供給及び捕虜に関する罪のうち法律が定めた場合に限り、単審で行うことができる。ただし、死刑を宣告する場合には、この限りでない。
第6章 憲法裁判所
第111条① 憲法裁判所は、次の事項を管轄する。
1 法院の提請による法律の違憲性の審判
2 弾劾の審判
3 政党の解散の審判
4 国家機関相互間、国家機関と地方自治団体間又は地方自治団体相互間の権限争議に関する審判
5 法律が定める憲法訴願に関する審判
② 憲法裁判所は、法官の資格を有する9人の裁判官で構成し、裁判官は、大統領が任命する。
③ 前項の裁判官のうち、3人は国会で選出する者を、3人は大法院長が指名する者を任命する。
④ 憲法裁判所の長は、国会の同意を得て、裁判官の中から大統領が任命する。
第112条① 憲法裁判所裁判官の任期は、6年とし、法律が定めるところにより、連任することができる。
② 憲法裁判所裁判官は、政党に加入し、又は政治に関与することはできない。
③ 憲法裁判所裁判官は、弾劾又は禁錮以上の刑の宣告によることなくしては、罷免されない。
第113条① 憲法裁判所で、法律の違憲決定、弾劾の決定、政党解散の決定、又は憲法訴願に関する認容決定をするときは、裁判官6人以上の賛成がなければならない。
② 憲法裁判所は、法律に抵触しない範囲内で、審判に関する手続き、内部規律及び事務処理に関する規則を制定することができる。
③ 憲法裁判所の組織、運営その他の必要な事項は、法律で定める。
第7章 選挙管理
第114条① 選挙及び国民役票の公正な管理並びに政党に関する事務を処理するため、選挙管理委員会を置く。
② 中央選挙管理委員会は、大統領が任命する3人、国会で選出する3人及び大法院長が指名する3人の委員で構成する。委員長は、委員中から互選する。
③ 委員の任期は、6年とする。
④ 委員は、政党に加入し、又は政治に関与することができない。
⑤ 委員は、弾劾又は禁錮以上の刑の宣告によることなくしては、罷免されない。
⑥ 中央選挙管理委員会は、法令の範囲内で、選挙管理、国民投票管理又は政党事務に関する規則を制定することができ、法律に抵触しない範囲内で、内部規律に関する規則を制定することができる。
⑦ 各級選挙管理委員会の組織、職務範囲その他の必要な事項は、法律で定める。
第115条① 各級選挙管理委員会は、選挙人名簿の作成等選挙事務及び国民投票事務に関して、関係行政機関に、必要な指示をすることができる。
② 前項の指示を受けた当該行政機関は、これに応じなければならない。
第116条① 選挙運動は、各級選挙管理委員会の管理下に、法律が定める範囲内で行い、均等な機会が保障されなければならない。
②選挙に要する経費は、法律が定める場合を除いては、政党又は候補者に負担させることはできない。
第8章 地方自治
第117条① 地方自治団体は、住民の福利に関する事務を処理し、財産を管理し、法令の範囲内で自治に関する規定を制定することができる。
② 地方自治団体の種類は、法律で定める。
第118条① 地方自治団体に、議会を置く。
② 地方議会の組織、権限及び議員選挙並びに地方自治団体の長の選任方法、その他地方自治団体の組織及び運営に関する事項は、法律で定める。
第9章 経済
第119条① 大韓民国の経済秩序は、個人及び企業の経済上の自由及び創意を尊重することを基本とする。
② 国は、均衡ある国民経済の成長及び安定並びに適正な所得の分配を維持し、市場の支配及び経済力の濫用を防止し、経済主体間の調和を通じた経済の民主化のため、経済に関する規制及び調整をすることができる。
第120条① 鉱物その他重要な地下資源、水産資源及び水力並びに経済上利用し得る自然力は、法律が定めるところにより、一定の期間、その採取、開発又は利用を特許することができる。
② 国土及び資源は、国の保護を受け、国は、その均衡ある開発及び利用のために必要な計画を樹立する。
第121条① 国は、農地に関して、耕者有田の原則が達成され得るよう努力しなければならず、農地の小作制度は、禁止される。
② 農業生産性の向上及び農地の合理的な利用のため、又は不可避の事情により、農地の賃貸借及び委託経営は、法律が定めるところにより、認められる。
第122条 国は、国民すべての生産及び生活の基盤となる国土の効率的で均衡ある利用、開発及び保全のため、法律が定めるところにより、これに関する必要な制限及び義務を課することができる。
第123条① 国は、農業及び漁業を保護、育成するため、農・漁村総合開発及びその支援等必要な計画を樹立し、施行しなければならない。
② 国は、地域間の均衡ある発展のため、地域経済を育成しなければならない。
③ 国は、中小企業を保護、育成しなければならない。
④ 国は、農水産物の需給均衡及び流通構造の改善に努力し、価格安定を図ることにより、農・漁民の利益を保護する。
⑤ 国は、農・漁民及び中小企業の自助組織を育成しなければならず、その自律的活動及び発展を保障する。
第124条 国は、健全な消費行為を啓導し、生産品の品質向上を促すための消費者保護運動を、法律が定めるところにより、保障する。
第125条 国は、対外貿易を育成し、これを規制、調整することができる。
第126条 国防上又は国民経済上、緊切な必要により法律が定める場合を除いては、私営企業を国有又は公有に移転し、又はその経営を統制若しくは管理することはできない。
第127条① 国は、科学技術の革新並びに情報及び人力の開発を通じて、国民経済の発展に努力しなければならない。
② 国は、国家標準制度を確立する。
③ 大統領は、第1項の目的を達成するため、必要な諮問機構を置くことができる。
第10章 憲法改正
第128条① 憲法改正は、国会在籍議員の過半数又は大統領の発議で提案される。
② 大統領の任期延長又は重任変更のための憲法改正は、その憲法改正提案当時の大統領に対しては効力がない。
第129条 提案された憲法改正案は、大統領が20日以上の期間これを公告しなければならない。
第130条① 国会は、憲法改正案が公告された日から60日以内に議決しなければならない。国会の議決は、在籍議員の3分の2以上の賛成を得なければならない。
② 憲法改正案は、国会が議決した後、30日以内に国民投票に付し、国会議員選挙権者の過半数の投票及び投票者の過半数の賛成を得なければならない。
③ 憲法改正が前項の賛成を得たときは、憲法改正は確定し、大統領は、直ちにこれを公布しなければならない。
附則
第1条 この憲法は、1988年2月25日から施行する。ただし、この憲法を施行するために必要な法律の制定又は改正並びにこの憲法による大統領及び国会議員の選挙その他この憲法施行に関する準備は、この憲法施行前に行うことができる。
第2条① この憲法による最初の大統領選挙は、この憲法施行日の40日前までに実施する。
② この憲法による最初の大統領の任期は、この憲法施行日から開始する。
第3条① この憲法による最初の国会議員選挙は、この憲法公布日から6月以内に実施し、この憲法により選出された最初の国会議員の任期は、国会議員選挙後、この憲法による国会の最初の集会日から開始する。
② この憲法公布当時の国会議員の任期は、前項による集会の最初の集会日の前日までとする。
第4条① この憲法施行当時の公務員及び政府が任命した企業体の役員は、この憲法により任命されたものとみなす。ただし、この憲法により選任方法又は任命権者が変更された公務員並びに大法院長及び監査院長は、この憲法により後任者が選任されるときまで、その職務を行い、この場合、前任者である公務員の任期は、後任者が選任される前日までとする。
② この憲法施行当時の大法院長及び大法院判事でない法官は、前項ただし書の規定にかかわらず、この憲法により任命されたものとみなす。
③ この憲法のうち、公務員の任期又は重任制限に関する規定は、この憲法によりその公務員が最初に選出又は任命されたときから適用する。
第5条 この憲法施行当時の法令及び条約は、この憲法に違背しない限り、その効力を持続する。
第6条 この憲法施行当時に、この憲法により新たに設置された機関の権限に属する職務を行っている機関は、この憲法により新たな機関が設置されるときまで存続し、その職務を行う。