自分も障害者手帳をもらうことはできるのか、障害者手帳を受けとるメリットとデメリットは何かなど、制度が複雑で障害者手帳について分からないことがたくさん。
障害者手帳のサービス、種類、対象、申請方法などを詳しく説明します。
障害者手帳とは
障害者手帳とは、障害があることを行政機関によって認められた人が、各種サービスの利用資格があることを証明するものです。
障害の種類は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の三種類があり、手帳の種類や等級に応じて、JRの運賃割引などの各種サービスを受けたり、障害者雇用で就労したりすることができます。
障害者手帳を使ってできること
障害者手帳を持っていると、以下のような場面でサービスを利用することができます。
・障害者向けのサービスや障害者割引を利用するとき
– 心身障害者扶養共済
– 心身障害者(児)医療費助成制度
– 税金の減額・免除
– 各種交通機関の割引
・特別支援学校への入学を希望するとき
・障害者雇用での就労を希望するとき
・就労に向けた支援を受けたいとき
障害者手帳の種類
障害の種類によって、もらえる手帳の種類が異なります。
身体障害者手帳とは「身体障害者福祉法」に基づいて交付されるものです。
主に身体障害のある人が対象で、障害の程度によって1級から6級に区分されます。
療育手帳とは、都道府県ごとの「手帳交付要綱」に基づいて交付されるものです。
主に知的障害や知的障害と重複する障害のある人が対象で、障害の程度によってA、Bや1度から4度に区分されます。
精神障害者保健福祉手帳とは「精神保健保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいて交付されるものです。
主に精神障害や発達障害のある人が対象で、障害の程度によって1級から3級に区分されます。
身体障害者手帳とは
身体障害のある人がサービスを受けやすくするための手帳です。
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付されるものです。
各種の福祉サービスを受けるために必要となります。
手帳の対象となる障害の範囲は、身体障害者福祉法の身体障害者障害程度等級表によって1級から7級までの区分が設けられています。
厚生労働書「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)」
対象 |
身体障害者福祉法別表に定める身体障害のある人
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申請方法 |
①役所の障害福祉の窓口で交付申請用紙を受け取る ②指定医※を受診して身体障害者診断書・意見書を依頼 ※身体障害者福祉法第15条によって指定された医師。 ③障害福祉の窓口に以下を持参して申請する
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よくある質問で「私は○○病ですが、身体障害者手帳の対象になりますか?」と聞かれることがあります。
しかし、障害者手帳の交付は病名だけで判断をするわけではありません。
疾病の結果としての障害の程度や生活動作の支障などによって認定するので、まずは指定医に相談することをおすすめします。
療育手帳 / 愛の手帳とは
知的障害・発達障害のある人がサービスを受けやすくするための手帳です。
都道府県ごとに名前が違うので「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ぶこともあります。
療育手帳 / 愛の手帳は、都道府県ごとの手帳交付要綱に基づいて、児童相談所や知的障害者更生相談所で知的障害であると判定された場合に交付の対象となります。
対象 | 児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害であると判定された人 |
申請方法 |
①18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所で障害の程度等の判定をうける ②障害福祉の窓口に以下を持参して申請する
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その他 | 療育手帳を「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ぶ自治体もある 年齢や地域によって更新が必要な場合がある |
知的障害を伴わない発達障害の場合には、療育手帳ではなく精神障害者保健福祉手帳を申請する人が多いです。
療育手帳は都道府県ごとに交付の範囲が異なるので、自分の住んでいる自治体の障害福祉の窓口に問い合わせてください。
精神障害者保健福祉手帳とは
精神障害や発達障害のために生活しづらさを感じている人が、サービスを受けやすくするための手帳です。
精神障害者保健福祉手帳は「精神保健保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいて交付されるもので、各種の福祉サービスを受けるために必要となります。
精神障害のため、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある人が交付対象となります。
対象 |
精神障害のため、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある人
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申請方法 |
①役所の障害福祉の窓口または保健センターにて交付申請用紙を受け取る ②障害福祉の窓口に以下を持参して申請する
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その他 | 2年ごとに手帳の更新義務がある |
自立支援医療制度と一緒に申請すると、医師の診断書が1枚で済む場合もありますので、お住まいの自治体の障害福祉の窓口か保健センターにご確認ください。
障害者手帳を使った就労
障害者手帳を持っていると「障害者雇用」の求人に応募して働くことができます。
従業員を50人以上雇用している企業は、障害者雇用促進法によって障害者を雇用することが義務づけられています。
2018年4月からは、民間企業の法定雇用率は2.2%と定められています。
障害者手帳を持っていると障害者雇用の枠で働くことができます。
障害者手帳についてのQ&A
障害者手帳をもらうことでデメリットはありますか?
デメリットはありません。
障害者手帳の交付を受けた後も、使うかどうかは個人の判断で決められます。
必要なければ返却することもできます。
障害者手帳を受け取ったときに「ああ、私は障害者なんだな」という気持ちになるので、障害者だと突きつけられる”心の痛み”がデメリットかもしれません。
障害者手帳を取得したことを周囲に隠すことはできますか?
自分から伝えない限りは知られることはありません。
役所には守秘義務があるので、ご近所や会社の人に「あの人、障害者手帳を持ってるんですよ。」とバラされるようなこともありません。
障害者手帳は更新は必要ですか?
精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新が必要です。
更新のたびに医師の診断書が必要になるから、そのための出費が困ります。
障害者手帳をもらえれば障害年金はもらえるのですか?
障害者手帳と障害年金は異なる制度なので、それぞれに申請が必要です。
障害者手帳と障害年金は似ているから誤解しやすいけれど、まったく別の制度です。
関連記事:
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まとめ
障害者手帳について、身体障害者手帳と療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の3種類の説明をしました。
障害者手帳があることでさまざまなサービスを受けたり、障害者雇用で就労したりすることができます。