エンジンオイルクーラー取り付け時の注意点について

季節柄か、オイルクーラー取り付けについてのメールが多く、現在、当方も忙しく個別に返事をするのが億劫なので、一般的な注意点についてだけ書きます。

↑私が現在使用している空冷オイルクーラー。 チューブ型の汎用品です。

※なお、私が現在使用しているこのオイルクーラーやオイルブロックのメーカーや種類についての詳細は事情があり載せられません。(以前の記事内容についてメーカーからクレームが来たのです。

私は良い点、悪い点を正直に書いたつもりでしたが記載内容が気に入らなかったらしく、営業妨害で訴えるとまで言われてしまいました。ユーザーからの意見は謙虚に聞いて今後の製品改善に活かすのが業者としての努めだと思うのですが、私もトラブルは嫌なので以前の記事は削除しました)

なのでこの製品についての問い合わせをされても答えられませんのでご理解ください。

なお、汎用コア、流用コアや汎用サンドイッチブロック等を使用してDIYで取りつける際は少なからず取り回しや固定方法に工夫が必要です。

このへんはご自身で考えながらおこなうのがDIYの基本です。 それが面倒、あるいは心配なら多少高くても専用キットになったものを買ったほうが良いでしょう。

メーカー製、ショップ製のキットであれば解らないことがあればサポートもしてくれるでしょうし不都合があれば交換などの対応もしてくれるでしょうが、汎用、流用パーツの場合はすべてが自己責任、自己対応となることを忘れずに、慎重にお願いします。

軽自動車のエンジンにとって、必要もないのにあまり大きなサイズのコアの使用はオイルポンプ容量から言ってもオーバーサイズになりかねないので、その用途に適したサイズのコアのクーラーを使用することが必要です。

私の使用しているものは軽自動車のエンジンでも負担の少ないチューブタイプですが、このタイプは簡易で風通しも良いのでストリートでの使用では適していると思います。

逆に、本格的な競技で使用するには放熱カロリー不足になりますので、より大きいサイズのラジエータータイプの製品のほうが優れていますが、ストリートでの使用で100馬力ちょっとのパワーの私の車のようなレベルのエンジンであれば、とりあえず必要充分です。

たとえば、高速での巡航がメインで比較的走行風が多くあたるような場所につけられる場合は、コアの大きさにこだわるよりも走行風をいかに効率よく当てるかを重視することになりますし、逆に、低速でエンジンに負荷をかけるような使い方をするオフロードの低速競技などの場合は大きなコアが必要(さらに必要であれば電動ファンを併用)になる等です。

それと同時に、オイル交換時にはオイルクーラーを装着すると当然ながらエンジン作動時にはそこへもオイルが廻りますので、そのぶんのオイルの量を見込んでオイルを多めに入れておく必要があります。 つまり、オイル交換および補充時にはレベルゲージのFラインを超えてからさらに500cc程度(使用するオイルクーラーの大きさによって変わる)多めに入れないといけません。

※ただし、オイルクーラーコア内部のオイルがエンジン停止時にオイルパンに戻ってこないような装着方法をしている場合はこの限りではありません。

また、ホースの取り回しについても、エンジンはかなり揺れますし、常に振動もしていますのでホースが車体側の鋭角部に当たったり、引っ張られたり、擦られるようなことのないように注意して取り回すことが重要です。 どうしても当たってしまう箇所は保護してやることも必要です。

なお、空冷オイルクーラーをつけるときに純正の水冷オイルクーラーを外す人もいますが、空冷オイルクーラーと水冷オイルクーラーは根本的に役割が異なりますので、とくに外す理由がなければ残して併用したほうがエンジンには良いです。

↑私の車の取り付け状態。 もっとも前方へつけています。

余談ですが、オイルクーラーやインタークーラーの色で若干の冷却効率の違いが有ります。

あくまで理想論ですが、理論的には艶消しの黒がもっとも適しています。

表面性状については艶ありよりも艶消しのほうが良いのは表面積の違いからわかると思います。

色については、一般に不透明の材質の場合吸収率と放射率は等しいというキルヒホッフの法則に基づく考えで、熱の吸収の大きい色ほど放熱効果が高いということになります。

早い話、熱を吸収しやすい色ほど熱の放熱もしやすいということです。

とはいえ、実際はトップカテゴリーのレースでさえもアルミ地肌のまま使用していることも多いことから、気分的な問題のレベルかもしれませんし、この黒色にするために使用する塗料の成分によってはそれ自体が断熱をしてしまう可能性もあるので、本末転倒になりかねません。

昔から使われているガンコートなどの塗料であれば放熱効率は優れていると思います。

オイルブロックについて

こういうオイルクーラーの取り出しには通常、手軽なことからサンドイッチブロックを使用しますがここで気になるのはサーモスタットつきにするかサーモスタットなしにするかということです。

私はサーモなしのものを使用していますが、これには以下のような私なりの考えによるものです。

サーモつきの動作順序から考えますと、まず、低温時にはサーモが閉じていますのでオイルは純正と同じ経路でエンジンに循環します。 次に、高温時はサーモ全開になるので、オイルポンプから送られたオイルはすべてオイルクーラーを通過してエンジンに送られます。

しかしこの中間、つまり、サーモの開きはじめの状態ではサーモスタットは一気に動くのではなく、少しづつ開きます。

この状態が危険因子で、この「開きかけ」「閉じかけ」のとき、オイルの経路はエンジンに直接廻る経路と、オイルクーラーへの経路と2つの経路へ同時に開いてしまいます。

つまり、この状態ではオイルポンプから送られたオイルは2つの経路へ分散されてしまうためにそこで流路容積が一気に広がることから油圧が落ちるとともに、油量も分散してしまうので、どちらの経路へも一時的には100%の量のオイルが廻らず、油圧および油量の一時的な低下を招いてしまう可能性があるのです。 この状態でエンジンに高い負荷がかかったような走行をすると油量および油圧不足によりエンジントラブルに繋がる可能性は否定できないのです。 とくにオイルポンプ容量に余裕のないエンジンにとっては無視できないのではないかと個人的には考えています。

さらに、大きめのオイルクーラーを装着していて、なおかつエンジン停止後にそのクーラー内部のオイルがすべてオイルパンに戻ってしまうような取り付け方をしている場合、エンジンをかけてオイルポンプからオイルが送られてもオイルクーラー内部にオイルが充満するまではその内部に溜まったエアをまず排出しますので、その間、オイルラインにかなりのエアが混入することになります。

これはサーモなしのオイルブロック使用でも同じことですが、このタイプの場合はエンジンをかけてからしばらくの間、無負荷でアイドリングさせてやることで影響を回避することができますが、サーモつきの場合はこれが走行中に起こるわけです。

こういった状態になった時に知らずに高回転、高出力を使用する運転をすると、エアを噛み込んで油膜が切れたりして流体潤滑状態が途切れることで、金属表面が直接接触してメタル部などに損傷を与え、最悪エンジントラブルに繋がる可能性もあるわけです。

まあ、一瞬にして大きなトラブルに至るというのは考えにくいですが、トラブルとまでいかなくても頻繁な油圧、油量低下によってシリンダーやメタルなどの慴動部に傷が入りやすかったりする可能性が高くなることから、長い目で見たときに寿命が短くなるなどの現象も考えられます。

しかも、もっとも街乗りで多用する温度域であろう80度から90度という温度はこのサーモの作動温度に重なりますので、こういう「開きかけ」「閉じかけ」の状態で使用する機会が多くなります。

これらを考えると、私はとてもサーモつきのオイルブロックを使う気にはなれません。

いちおう断っておきますが、これはあくまでも私の考えであり、実際にこういったトラブルがあったという実例は私は聞いたことがありません。 あくまで理屈の上で心配なだけです。

ただ、気になる話として私のもとに来た数通のメールではJB23の一部でサーモつきオイルブロックの使用で、普通に走っていたにもかかわらずエンジンブローに繋がったという例が2例ほどあるという内容のものが寄せられました。

これの原因はわかりませんし、なにより私自身が確認したわけではないので真偽のほどさえもわかりませんが、仮に本当のことだとすると、話の内容から判断するとサーモが絡んでいることは間違いなさそうです。

あるいは、よほどヘボな設計のオイルブロックであるならば、単にサーモ部分での流路抵抗(圧力損失)が大きくて抵抗が過大になって油量不足→潤滑不良という単純な原因であることも考えられます。

たまに大きなオイルクーラーやサーモ付きオイルブロックをつけても「油圧は下がらなかったよ」と言う方がいますが、通常、油圧センサーはオイルポンプ直後の油圧を計っているだけで、その後の圧力損失までは計っていません。 つまり、オイルポンプ直後ではたとえば5kあった油圧が、オイルクーラー等さまざまな抵抗因子によってエンジンのメインギャラリーでは4kにまで低下している可能性だってあるのです。 ですので、「本当の意味での油圧」というのはシリンダーブロックのメインオイルギャラリーの油圧を計測しないとわからないのです。

いずれにしても、私にはサーモスタットつきのオイルブロックには何かしらの問題が潜んでいるものと考えているので、とても使用するきにはなれません。

その他

なお、オイルクーラーを装着すると当然のことながらオイルの経路の長さが長くなりますので、それだけオイルがエンジン全体を廻る時間が必要になりますので、エンジンをかけた直後にすぐに車を発進させるようなことはせず、エンジンをかけてから最低30秒くらいはアイドリングするなど無負荷で回してやって、オイルを充分まわしてやることがエンジンをいたわることになります。

エンジンが冷えているコールドスタート時には1分ほどはまわしてやったほうが良いでしょう。

エンジン内部にオイルがまだ充分に廻っていないのに、いきなり発進して負荷をかけるような運転をすると、シリンダーやメタルを傷つけてしまいます。

オイルがまだ廻っていない状態でエンジンをかけることをドライスタートと言いますが、こうしたドライスタートでの潤滑、保護性能に優れたエンジンオイルの使用もエンジン保護の意味で重要です。

それと、たまにATオイルクーラーをエンジンオイルクーラーに流用する人がいるようですが、ホースサイズやコアサイズに注意が必要です。

オイルクーラーのオイルラインは人間の血管で言えば大動脈にあたります。 充分に余裕を持った太さのホースを使用して下さい。

エンジンオイルクーラーのホースサイズは軽自動車でも最低#8(内径11mm以上)はないと容量不足となる可能性があります。 参考までに私のホースは#9(内径12.7mm)です。

当然ながらホースの長さが長くなるような取り回しでは余計に抵抗になりやすいので、そういう場合や、オイルポンプ容量アップを図っている場合などは余裕をみて普通車と同じ#10あたりのホースを使用するほうがいいでしょう。 配管長さはできるだけ短くすることも重要です。

通常、ATオイルクーラーのホースサイズは#6(内径8.5mm程度)くらいですので、これではエンジンオイルクーラーに使用すると油量が不足してしまう可能性があります。

それとジムニーの場合はサンドイッチブロックを使用して純正オイルフィルターを使用するとサスペンションのフルバンプ時にホーシングとオイルフィルターがぶつかりますので、できる限り薄型のサンドイッチブロックおよびコペン純正サイズのオイルフィルターを使用するか、フィルター移動式のキットを使用するかなどの対策が必要になります。

ただし、小型のフィルターはそれだけ濾過面積が狭くなり詰まりやすくなるので、とくにブローバイガスの吹き抜けの多いエンジンは燃焼室からのカーボンによるオイルの汚れが激しくなるので、毎回のオイル交換ごとにフィルターも交換するなどの対処が必要になります。

※ただし、私はこれらのフィルターの使用を決して推奨しているわけではありませんのでくれぐれも自己責任で!