簡易空燃比モニタを自作する方法

空燃比計(A/F計)は大別して2種類あり、高精度なセッティングに使用される排気温度に左右されず全領域で精度が信用できるワイドバンドタイプと、理論空燃比付近のみの検出を目的とした排気温度に精度が左右されるセンサーを使用した安価なナローバンドタイプがあります。

私もある程度精度が欲しい確認の時などはワイドバンドのGRIDのLM-1を使用してますが、これは本体も大きくかさばりますし、扱いもデリケートで常設にはいまいち使い勝手の悪い面もあります。

またワイドバンドセンサーは寿命があまり長くないことが多く(LM-1のセンサーは比較的超寿命ですが)、また空燃比は一度調整が済んでしまえば普段はそれほどいじることもないので、日常は簡易なメーターをつけておき、仕様変更の際や季節の変わり目にセッティング確認したいときのみ高精度な空燃比計を使用するというのもいいかと思います。

そこで今回、普段から確認しておく目安として純正O2センサーからの出力を段階的に表示できる簡易モニターをつけてみました。 「メーター」ではなくあくまで「簡易モニター」です。

↑簡易空燃比モニタ。 某ネットオークションでよく出品されている汎用品です。(数字のラベルは自分で製作して貼ったものです)

10セグメントのLEDで空燃比を表示しており、その関係は以下のようになっているとのことです。

16.0
14.9
14.8
14.7
14.6
14.5
14.4
14.2
13.7
10.0

注)勿論、この表示と数値の関係にはセンサー特性の個体差がありますので、あくまでも目安です。

基本的に理論空燃比、つまりストイキ領域付近を検出して表示するのが目的ですので、14.6~14.7付近はそれなりの精度で表示されますが、そこから離れるにつれ精度は信用できなくなります。

また、ナローバンドの純正O2センサーを使用した表示ですので、排気温度が低い状態ではもちろん、逆に高すぎても精度は落ちます。  ですので純正ECUのO2フィードバック範囲をモニターするのが目的と割り切れば、使い方によっては有効に活かせると思います。

たとえば、普段からできるだけこのフィードバック範囲を利用して運転(具体的には、加速時になるべく赤LEDを点灯させないようにする、巡航時もなるべく橙LEDを多く点灯させないようにする、エンジンブレーキ時の燃料カットを積極的に利用する)することによって、省燃費運転、いわゆるエコドライブをするのにもいい目安になると思います。

最近の車には瞬間燃費計などもついていますし、サードパーティー製の汎用品でもリアルタイムの燃費を表示するものもありますが、空燃比表示はこれらとは異なり、ECUが現在どのように空燃比を制御しているのかを直接知ることができるのが面白いところです。

取り付け

配線はACC電源、アース、ECUからのO2センサー線の3本だけなので難しいことはありません。

本体も小型なのであまり場所を選びません。 私は純正のコインポケットを利用しました。

インプレッション

たしかに理論空燃比付近の表示に限ってはそれなりに信用できると言えます。

フィードバック範囲で走行している状況では緑LEDはほぼ全部点灯、橙のLEDが1~2個点滅するような感じになりますので、ほぼ理論空燃比(ストイキ領域)で制御されているというのがわかります。

アクセルオフ時の燃料カット時はすべて消灯し、アクセルを踏むとまた瞬時に表示が立ち上がります。

このバーグラフの動きはけっこう素早く、オーディオのスペアナのような感じです。

また、フィードバック範囲を抜ける条件(スロットル開度、エンジン回転数、インテーク圧力のいずれかがフィードバック条件を外れるとマップを直接読むようになります)になるとそれまで表示がせわしなく動いていたものがある程度固定化されて、マップの値で直接噴射していることが解り、たとえば全開加速時など、高負荷時には赤LEDが1つ点灯して濃い空燃比になっていることが解ります。

ただ、やはりこれはあくまでも簡易モニターとして見るもので、数値を表示するメーターとしては正直言って機能はしませんので、空燃比セッティングなどに使用できるレベルのものではありません。

実際に省燃費走行に活用してみて

私は燃費を気にしながら走るのはストレスが溜まって好きではないため、普段は気にせず走ってますので平均の燃費はだいたい11~14km/lの間(AC使用時はこれより1km/lほど落ちます)です。

今回モノは試しというわけで、このモニターの表示を参考にしながら可能な限りフィードバック領域を使用し、また下り坂や減速時には燃料カットを積極的に利用して省燃費に気を遣って運転してみたところ、街中約7割、高速約3割という条件で300kmほど走った結果、満タン法でなんと10・15モード燃費(15.8km/l)を上回る16.45km/l走ってくれました。(できるだけ誤差を出さないようにするため同じ給油機でオートストップでの比較です)やはり燃費を意識して走るとけっこう違ってきます。

そもそも小排気量でしかも過給機つきエンジンというのは乗り方次第で燃費が大きく変わってくるのが普通ですので、巷にあふれている面妖な省燃費オカルトグッズをつけるよりも、ドライバーの乗り方や走行条件のほうがよほど燃費に影響するものです。

それと、私の車はタービンを大きいものに換えていますが、そのせいでノーマルタービンよりも普段の走行ではブーストが上がらないために、よりフィードバック領域を多く使えることが燃費には好結果に繋がっているように感じます。

ノーマルタービンではアクセルをちょっと踏み込んだり、ゆるい坂道を登っている時、3000rpmも回っているとほぼフルブーストになってしまうので、すぐにフィードバック領域を外れて濃い空燃比になってしまうので、レスポンスが良すぎるのも意外と省燃費運転には気を遣わないとならないのです。

その他、私の経験上ではエンジンオイルの粘度が15W-50と5W-30では1km/l程度変わってきますし、タイヤの空気圧も0.3~0.4barほど違うと同じく1km/l程度の変化があります。

注)私の装着しているタイヤは純正と外径が異なりますが、その差は約2%なので誤差の範囲とします。

さらに純正タイヤよりも太く転がり抵抗も大きくやや重いタイヤなので、もしこれが純正サイズのタイヤならば燃費は間違いなくさらに向上するはずです。 なお、テスト時の空気圧は2barです。

また、別の見方としては、たとえば正常な表示状況を高精度な空燃比計とともに確認して覚えておけば、何らかの異常が生じてECUの学習状況が狂ったりセンサーに異常が出たときなどは表示が普段と違った状態になるなど変化が出るはずですので、大雑把ではありますがいち早く異常を発見できるというような使い方も可能です。

視認性は概ね良好ですが、直射日光が直に当たるような条件では見にくくなりますので、私の場合はシェード(日よけ)を作ってつけました。

最後に、難点としてはレスポンスが敏感すぎて条件によっては読み取りにくい場合があります。

ちょうど機械式ブースト計をオリフィスをつけないで装着したような感じで、とくにフィードバック領域ではあまりにチカチカと敏感に動きすぎるのが気になります。

空燃比は常に変動しているものですが、この製品は絶対値を読み取るためのものではなく、どちらかというとバーグラフの動きを見て空燃比の変化を知るためのものですので、人間の目に自然に視認させるためにはある程度の曖昧さというか僅かな静止時間があったほうが良いのではないかと思います。

たとえば、リアルタイムで表示せずにサンプリングタイムを0.3秒とか0.4秒とかとって表示するようになっていればより変化をスムーズに読み取ることができるのではないかという気がします。

とはいえ、現状でも簡易空燃比モニターとしては充分に機能しますし、おもしろい製品だと言えます。